〔060〕黒部五郎岳 (2,840m)

標高差:1,484m

2006年08月24日(当時57歳)


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富山県富山市有峰
折立登山口〜黒部五郎岳:7時間36分、黒部五郎小舎まで9時間08分

前日の移動
  有峰林道は交通規制があり20:00〜6:00の間は通行出来ない。 夜の12時過ぎに立山ICを
下りて有峰林道ゲートに向う。 昨年はゲート横の駐車場に車を停めて、朝、目覚めてみると
どん尻になっていたと言う苦い経験があるので、今回はゲート前に車を止める。 幸いにもまだ
誰も来ていなく、ゲート前のポールポジションをゲットする。

深田久弥著の「日本百名山」から
  もし、それぞれの人に、こころの山というものがあるとしたら、中村清太郎さんのそれは
黒部五郎岳に違いない。 画伯は中学生の頃、すでに白馬の頂上から笠ヶ岳に似たこの山を
遠望して、非常に惹かれたという。
Road Map :北陸道の立山ICから立山ケーブル駅を目指し、途中から亀谷温泉側に入る。
Route Map:エリヤが広過ぎる為、折立登山口から太郎平小屋までは昨年の”薬師岳編”を参照下さい。
樹林帯の急登を1時間10分登ると、”三角点”に着く。
昨年、薬師岳に登った時と同じく最高の天気になってくれた。
遠景ではあるが ”三角点”からは ”剱岳”を見ることが出来た。
折立登山口 五光岩ベンチ 太郎平小屋 太郎山 北ノ俣岳 赤木岳 黒部五郎岳 カミナリ岩 黒部五郎小舎
6:40 9:00 9:35 10:06 11:26 12:05 14:16 15:02 15:48
太郎平小屋の前から見た北アルプスの峰々。
ここまで3時間掛かっているのに、黒部五郎岳はまだ遥か先にある。
明日の昼過ぎには ”水晶岳”の山頂に立っている予定である。
5時38分に目覚めると我々の車の後には登山ツアーバス、その後には乗用車が10台程並んでいた。 ゲート開門は時間6時、料金は往復で
1800円。 一人で来た時は通行料金が痛かった。
20kmの林道をトップで走り抜け、折立の登山口に着くと平日なのに
駐車場は満杯で道路にまで車が停まっていた。 幸い、我々は駐車場に車を停めることが出来たが、後の連中は空きスペースを探してウロウロしていた。
初の小屋泊まりであり、非常食、おつまみ、着替え等でザックが随分重くなっており、肩にずっしりと堪える。 これでへこたれているのだからテント泊は絶対に出来ない感じ。
6時40分、折立登山口を出発する。 登山口の休息所は今年の豪雪で
屋根が壊れ外周は立入禁止になっているが、中での休息は問題ない様だ。
長く辛い道のりではあるが、大展望に助けられている。
気温は20℃と低いのであるが、真夏の太陽が前方から照りつけ暑い。
時折、涼しい風が吹き抜けていく。
昨年はここから ”薬師岳”に向ったが、今回は小屋裏の ”太郎山”に向かい ”黒部五郎岳”を目指す。
2時間55分で”太郎平小屋”に着く。
ここは若い女性アルバイターが多く、泊ってみたいものであるが、中途半端な位置にあり、利用し難い。
マイクロバスのツアー登山者はここで一泊らしいが、ここまでのペースが遅いものと思われる。
左、薬師沢、右、黒部五郎岳の分岐点
  ここまで3人で登って来たが、一人が体調が悪いから別行動を取りたいと言い出した。 理由は今日の宿泊予定の黒部五郎小舎までの距離が長いことであり、薬師沢側なら薬師沢小屋とその先に雲ノ平小屋があり、体調によりどちらでも選択出来るかららしい。
  山での別行動は碌なことがないので、一緒に行こうと説得するが、説得を聞く様な人では無いし、体調は本人しか判らないので、太郎平小屋裏の分岐点で別れ、明日の夕刻、薬師沢小屋で会うことにした。
標識には薬師沢4.7km、黒部五郎岳9.6kmの表示あり。
”太郎平小屋”から6分も歩けば ”太郎山”(2,373m)に呆気なく着く。
”太郎山”へは縦走路から少し脇道に入る必要なあり。
周辺はガスってしまい展望は得られず。
”太郎山”から次のピークである ”北ノ俣岳”(2,661m)を見る。
この大きな山を越えても黒部五郎は遥か先にある。 ボチボチ行くしかないか。
広々とした縦走路は緩やかなアップダウンを繰り返す。
周辺にはお花が咲いているが、時期的には終盤を迎えている感じ。
4時間46分にて ”北ノ俣岳”(2,661m)に着く。
頭上は晴れているが、ガスがどんどん上がってきて周辺の山が見えなくなってきた。
時折 ”薬師岳”がガスの切れ間に顔を出す。 ここでお昼休憩を15分取る。
続いて5時間25分にて ”赤木岳”(2,622m)に着く。
高度感の無い山であり、ガスで展望もないことから通り過ぎる。
ここが沢登りで有名な ”赤木沢”の到達地点だと、後から知る。
距離が伸びるに従い、疲れが出て来て、少しの登りでも
堪える様になってくる。 自分にとっては重いザックであり、
肩紐で肩が痛くなってきた。
赤木岳を過ぎた辺りで ”ライチョウ親子”と出会う。
人を怖がらず、まったく逃げようとしない。
全ての動物がこうなってもらいたいものだ。
お母さんライチョウと子ライチョウ2匹。
仲良く餌を漁っていた。
縦走途中から見た ”赤牛岳”(2,864m)の大きな山容。
いよいよ ”黒部五郎岳”への登りに差し掛かってきた。
真南から見た ”薬師岳”(2,926m)。 ガスはまだ残っているが大分切れてきた。
この谷の遥か下の方に ”薬師沢小屋”が見えた。
ゴーロと呼ばれている石がゴロゴロした登山道をジグザグに登っていく。
上方に大きなザックを背負ったおっさんが休憩しながら
登っているのが見えていた。
7時間24分にて黒部五郎直下の ”分岐点”に着く。
先ほどの大きなザックのおっさんはアメリカ人だった。 1週間分の
食料を背負っているらしく、20kgは下らないと言っていた。
7時間36分にて ”黒部五郎岳”(2,840m)に着く。
ここを日帰り登山出来るかの下調べを兼ねているが、
頑張れば日帰り出来ることが判った。
米国のおっさんはザックを分岐にデポすると、軽やかに山頂に登って
来た。 得意の英語で会話しようとしたが、相手は日本語がペラペラ
だった、残念! 日本で理科の教師をしているらしい。
”分岐”に戻り、カールを下って沢道に出ることにした。
急峻なカールの斜面に作られた登山道はきれいなイナビカリを描いていた。
残雪期は尾根道から下山する方が安全らしい。
尾根筋の登山道はアップダウンが多そうなので、
カールの底に下るカミナリ道で下山することにする。
8時間22分で ”カミナリ岩”の横を通る。
カミナリに当って岩が割れたとの謂れであろうが真実の程は判らない。
カール下は雪渓から流れるきれいな沢水と花の百名山の著者、
田中澄江さんが一番好きな山と言う程にお花が沢山咲いているが、
今は時期的に少々遅い感じだった。
沢道から笹原をトラバース気味に進むと前方が開け ”黒部五郎小舎”
が見えた。 小舎の後ろは明日登ることになる三俣蓮華岳へ続く。
9時間08分にて今日、お世話になる ”黒部五郎小舎”に着く。
黒部五郎小舎
  '05年にリニューアルオープン、収容人数50名、1泊2食で8,300円(朝はお弁当にした)
平日であるせいか、空いていて25名部屋に6名だった。 飯は美味いし、トイレもまったく臭くない。  ただ、ふとんが湿気ていて風呂に入っていない体には気持ち悪かった。 初めての小屋泊まりとしては大満足。 生ビールを呑んで18時30分には爆睡状態、朝の3時まで目が覚めることはなかった。
小舎から ”黒部五郎岳”の山頂部が少し見える程度で残念な景観であった。
手前の山筋が登山道のある尾根筋、その向こうがカールからの沢となっている。
生ビールは表銀座より100円安い。
山で生ビールが呑めるだけで最高の気分。
2杯は一気に呑みたかったが、節約モードが
働き1杯だけとした。
折立登山口 ⇒ 太郎平小屋 2時間55分  標高差:974m Map
太郎平小屋 ⇒ 北ノ俣岳 1時間26分  標高差:331m Map
北ノ俣岳 ⇒ 黒部五郎岳 2時間36分  標高差:179m Map
黒部五郎岳 ⇒ 黒部五郎小舎 1時間25分  標高差:490m Map
'06年度の北アルプス縦走
08/24 08/25 08/25 08/25 08/25 08/26
黒部五郎岳 三俣蓮華岳 鷲羽岳 水晶岳 祖父岳 下山
小舎のベンチで寛ぐ人の仲間入りをして夕食までまったりとする。
カールの急斜面を一気に下る。 周辺はお花畑になっていた。
樹林帯を抜けると一気に展望が開け ”有峰ダム湖”が眼下に見える様になる。
”白山”も見えているのだが、雲が出て来て山の形がぼんやりとしか見えなかった。
日本百名山』 ロングコースの縦走であるが終始、北アの山々が望める大展望が続いた。
くろべごろうだけ
ランニングを趣味としている相棒はまだまだ余裕たっぷりであった。
このカールの写真は当日は薄いガスが掛かっていたので、
翌日、逆周りしている先輩の写真を頂いた。
”薬師岳登山口”には1年前の10月21日に
来ているので記憶に新しい。
道路の両側にある広い駐車所は満車状態であり、この全てが
ハイカーの車の様であった。 山中も混雑しているのか心配になる。
前方、遥か遠くであるが ”太郎平小屋”が見えて来た。
緩やかではあるが長い登りが続く。
左手には昨年登った ”薬師岳”が望めた。
夏山らしく、下からガスが上がって来た。
ガスに囲まれるのは時間の問題だ。
”北ノ俣岳”の山頂にはケルンが積み上げられていた。
”黒部五郎”の山頂が見えて来た。
この辺りから登りがきつくなって来る。
山頂へのジグザグに設けられた登山道。
太郎山(2,373m)
北ノ俣山(2,661m)
赤木岳(2,622m)
2023年11月26日改定